今回の物語は『今世と男女逆転の関係』の続き(その4)です。
その1

その2

その3

54歳になると、彼は生まれ育った家に彼女と二人で帰ります。もう、母親たちは亡くなり、家だけが残っていたからです。
彼の革製品は評判で、町でよく売れました。おしゃれな女性たちが、彼の作った鞄や靴を買っていきます。彼は、お金には無頓着で時折馴染みの客からタダで修理を引き受けて、妻に怒られることもありました。彼女は、しっかりと家庭を切り盛りするのに長けていて、能天気な彼を支えていました。
そんな彼もだんだんに歳をとりました。髪は白く、ひょろっと細かった体は、ふくよかに太り、少年のころの面影は、楽しいことを見つけるために忙しく動いていた小さな目に、わずかに感じられるほどに老いていました。
愛した妻は、彼を残して先に逝き、子供のいない彼は、一人、家で暮らしています。心臓の苦しさを感じながら、作業場の隣の部屋で、とても穏やかな気持ちで椅子に腰掛けています。
これまでの人生を思うと、家族という天から与えられたものは重苦しくて、手に余ったけれど、家族と離れ、彼女と生涯をともにするという自分で選んだ人生には満足していました。
そして、椅子に腰かけたまま、彼は息を引き取り、肉体から抜け出た魂は、彼女が待ってる場所へ上っていきました。
どんな性別であっても、ツインソウルとの最初の出会いは、男性が先に女性のことを特別な存在だと気付くようです。
今世でのコトノオとツインソウルの出会いも同様で、男性であるツインソウルがまず先にコトノオのことを発見しています。そして、実はツインソウルが彼女を見つけたのは、今世の前にともに過ごした人生で交わされた約束でもあったのです。
体験記25につづく

この体験記は1章〜7章、全58,000文字で構成されています。
HPでは3章くらいまで順次公開予定ですが、お先に読み進めたい方、最終章まで読みたい方は、noteにてご購入いただけます。
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