コトノオとツインソウルがお互いの気持ちを確認しあって十日が経ったある日、彼と突然、連絡が取れなくなりました。コトノオを守るためではあったとはいえ、彼女の元を去ることになったツインソウルと、全く連絡が取れない音信不通の期間が訪れました。
サイレント期間のはじまりです。
コトノオは、こんな苦しみがあるのかと驚き、我が身に起きている事態を冷静に捉えようとしながら、薄れていく現実感のなかにいました。
ツインソウルだと知るキーワード
ツインソウルと別れざるを得ない状況に追い込まれるサイレント期間が訪れた時点では、コトノオはツインソウルの存在を知りませんでした。そのため、突然やってきた彼との別れがサイレント期間であると知る術もなかったのです。
ただ一つ分かっていること。それは、「何やら尋常ではないことが起こっている」ということだけ。
そして、彼が残した「前世で約束した人だと思った」の言葉を頼りに、藁をもすがるつもりで調べつくし、ようやくコトノオは「ツインソウル」という言葉にたどり着きます。
ツインソウルについて書かれた本で紹介されていることが、どれもこれも、自分の体験に当てはまります。
「もしかして彼は、私のツインソウルなのかもしれない……」
それが確信に変わるのは、突然、噴き出してきた、彼との前世の記憶を思い出すようになったころでした。
コトノオはツインソウルのことをまったく知りませんでしたが、その後、あらゆる霊的な体験を通して知っていくことになります。
彼の残した言葉
彼と突然、音信不通の状態になっても、彼に会いに行ってはいけないことをコトノオは悟っていました。なぜなら、彼が自分から離れていった理由に薄々感づいていたからです。
彼が、コトノオを守るために離れて行ってしまったこと。だからこそ、彼が自分と会わないこと。そして、連絡すら取らないと固く決意しているだろうことも。
これまでに味わったことのない穏やかで幸せな時間は、一瞬にして過去のものになってしまいました。
コトノオは、この予期しなかった別れに絶望します。どんなに泣いても、どんなに求めても、もう彼と会うことはできないと感じていたからです。
しかし、そんな絶望の中にいながらも、彼と出会ったことにより得た幸福感だけは、不思議なことに、いつも心と身体を満たしていました。コトノオは、絶望感を感じながらも、同時にそこに絶対的な幸福感が共存するという奇妙な状態で、サイレント期間を過ごすことになります。
コトノオと彼が暮らしていたのは、小さな田舎町。時おり、車ですれ違い、彼の姿を見かけるたびに胸が引き裂かれる思いでした。
ふわふわと落ち着かない状態で、生きているのか死んでいるのか定かでないような感覚。
そんな日々の中で、離れ離れになる前に、彼が言った「前世で約束した人だと思った」という台詞が、何度となく頭をよぎりました。
それまで、「前世」という言葉を意識したことも考えたこともありませんでしたが、「前世で約束した」ということがとても気になり始めたのです。
そして、コトノオはその言葉を手掛かりに前世に関する情報を集め始めると、ヒプノセラピーという催眠療法で、自分で前世が見られるということを知りました。彼女は、早速ヒプノセラピーを受けることにし、人生で初めて、自分の前世を知ることになったのです。
ヒプノセラピーで知ったツインソウルとの前世
ヒプノセラピーでは、二人で過ごした前世を思い出しました。そして、彼と前世で交わした約束が鮮明に蘇り、最初から最後まで大粒の涙がこぼれ続け、嗚咽が止まりませんでした。
音信不通になってからずっと、もう一人の冷静な自分が耳元で「単なる失恋よ。あの人は悪い人だったのかも。早く忘れなさい。」そう囁いても、コトノオの心の真ん中はびくともしませんでした。
その理由と思われるものをこのセラピーで体感することになったのです。